東京散歩~目黒編~
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はじめに
司馬遼太郎の『街道をゆく』で東京にも見て回るところはたくさんあるんだと気づいて、先月自分も赤坂を散歩してきた。
今月も東京のどこかを散歩しようと思い『東京散歩地図』を眺めていたところ、目黒の寄生虫館に目が止まった。大学時代にここに訪れた友人たちはみんな面白いと言っていて自分もいつか行ってみたいとずっと思っていた。目黒には寄生虫館以外も目黒不動尊や、近くの白金の方に大きめの自然公園などもあって面白そうだった。
そういうことで今月は目黒を散歩してみることにした。
目黒散歩
目黒駅
12時半過ぎに目黒駅に着いた。駅の近くにあるホテル雅叙園でDevSumiや会社の入社式に参加したときに降りたことがあるが、それ以外は通過駅としてしか利用したことがなかった。
まずは近くのサンマルクカフェで昼食をとった。
BLTサンドを食べながら目黒という地名の由来を調べてみた。目黒区の公式サイトによると、目黒の「め」は駿馬の「め」、「くろ」は畔道の畔で、馬と畦道を意味する馬畔(めぐろ)という音から生まれたというのが有力な説らしい。実際、目黒周辺にも駒場、駒沢、上馬、下馬など馬に関する地名が残っており、昔の関東地方には馬の牧場が多かった。牧場の管理人は畔道を通って馬を見回り、その畔道の中を自分の縄張りとしていたとのこと。
他の説としては、江戸時代に目黒、目白、目赤、目黄、目青の五色の不動尊が存在し、この地に目黒不動尊があるところから、目黒という地名が生まれたという説。こちらの説の方が個人的には面白い。
コーヒーを飲み終えたところで早速歩き始めた。
不動前駅
まずは東急目黒線沿いに南に歩いてみる。
道中は高層のビルやマンションが目立つ。北側の白金の方は東京でも高級住宅街らしくこの辺りもそうなのだろう。心なしかすれ違う人から金の匂いがする。
十数分ほど歩くと不動前駅に着いた。目黒の方は高級住宅感があったが、不動前駅の駅前は小さな商店が並んでいて下町感があった。
目黒不動尊
目黒不動尊は不動前駅から北の方にあるのでそちらに向かって歩く。目的地が近くなってくると人通りが多くなってきた。
どうやら縁日だったらしく、正面の通りには屋台がたくさん出ていた。調べてみると毎月28日は縁日の日らしい。
到着。立派な仁王門。
目黒不動尊の正式名称は瀧泉寺と言うらしく、開山したのは東北でもたくさん目にした慈覚大師。
境内に入ると射的やスーパーボールすくい、仮面屋などの懐かしの屋台もあり、ここだけ昔に帰ってきたような場所だった。
また、目黒不動尊には江戸時代に日本全国にサツマイモ(甘藷)を広めた青木昆陽の墓があるところで、それにちなんだ収穫祭もこの時期にやっているらしい。
本堂につながる階段の下には水かけ不動があった。代わりに滝に打たれてくださっているらしい。なかなかシュールな光景だったが、涼しさがあった。
本堂へ登るための急な階段は男坂というらしい。すぐ横に女坂もあり、男坂よりは登りやすくなっていた。
男坂を登ると赤坂の日枝神社でも見た山王鳥居と本殿が見えてきた。鳥居は神仏習合の名残らしい。
本殿ではちょうど護摩を焚いている真っ最中であり、荘厳で神秘的だった。護摩焚きの受付所が近くにあったので手続きさえすればやってもらえるようだった。
広場の隅には青木昆陽の像とサツマイモが実際に植えられていた。看板の説明を読んでいるとしっかり蚊に刺された。
五百羅漢寺
目黒不動尊を出て左に曲がり、道なりに進むと住宅地の隙間に五百羅漢寺がひっそりとある。
江戸時代に建立されたお寺で、中には松雲元慶によって彫られた羅漢像が東京都の重要文化財として保管されている。当時は500数体あったらしいが、廃仏毀釈の影響もあって現存しているのは305体。
拝観料の500円を払って中に入ると、さっそく羅漢堂があり本堂に納めきれない146体の羅漢像が安置されている。像一つ一つの表情やポーズは異なっており、それが一つの部屋にぎゅっと並んでいるので圧巻だった。
奥の本堂では中央に釈迦如来像、その左右にここでも羅漢像がたくさん並んでいる。釈迦如来が羅漢たちに説法をしているという構図らしく、参拝客がほとんどおらず静かなこともあってとても神秘的な空間だった。しばらくの間見入ってしまった。
内部では写真撮影禁止だったのでイメージが伝わるようにパンフレットを撮影。目黒不動尊に寄った後のついでにという感じで入ったがかなり良い場所だった。人も少ないので穴場感がある。また訪れたい。
目黒寄生虫館
五百羅漢寺を出て左に進むと山手通りに出る。これを北に数分歩くと目黒通りとの交差点があり、目黒通りを西へ少し進んだ先に目黒寄生虫館がある。博物館のようなものと思っていたが、普通の小さなビルで通り過ぎてしまいそうだった。
入場無料で入ることができ、館内での写真撮影は可能だが個人利用に限るとのこと。フロアは狭いながらも1階と2階があり、1階は寄生虫の多様性、2階は人体に関わる寄生虫というテーマを扱っている。
私立博物館らしいが、小さいながらも寄生虫の標本と解説の展示はとても面白かった。寄生虫の種類や大きさは多様で、糸切れのようなものからヒルやダニのようなものまで、人体に寄生する細くて小さい回虫から、実際に人体から採取された8mにも及ぶサナダムシまで、気持ち悪さで鳥肌を立てながらも見ていて飽きなかった。
あまりに面白かったのでショップでガイドブックと図鑑も購入し、募金までしてしまった。
とはいえ、なまものや麺類はしばらく食べられそうにない。
大鳥神社
寄生虫館の後は目黒駅まで戻り、北側の白金の方を散策しようと思っていたが時間が時間だったので今日はこれで切り上げることにした。
寄生虫館から目黒駅まで向かう途中にある大鳥神社に最後に寄ってみることにした。
ヤマトタケルを祀っており、目黒最古の神社らしい。
酉の市が有名らしく、ちょうど2週間後の11月11日が開催日で準備を進めている最中のようだった。
おわり
白金の方は時間が足りず歩けなかったものの、目黒不動尊も五百羅漢寺も寄生虫館もどれも面白く充実感があった。
前回の赤坂は歩き過ぎ回り過ぎだと少し反省していたので、今回のように2~3スポット巡るのがちょうど良いのかもしれない。
そんなわけで今回も東京にいながら小旅行気分を味わうことができた。また機会を見つけて東京を散歩したい。